考えは抑え込まない:消そうとするほど浮かぶ逆戻りを防ぐ
やる気が出ない、不安だといった気持ちをなんとか消してから勉強や仕事に向かおうとすると、かえってその気持ちが気になって動けなくなることがあります。
トリニティ大学のダニエル・ウェグナーらは、ある実験で参加者に「白くまのことだけは考えないでください」と伝えました。すると、考えないように努めた人ほど、かえって白くまが何度も頭に浮かんでしまいました。考えを押し出そうとする心の働きは、その裏で「まだ浮かんでいないか」と絶えず見張る働きも呼び起こします。この見張りが、消したいはずの考えをむしろ目立たせてしまうのです。とくに疲れているときや焦っているときほど、この逆戻りは強まると報告されています。
やりたくない、不安だという気持ちが湧いたら、それを消そうとするのをやめてみましょう。気持ちはそのまま置いておき、「今は面倒だと感じている。それでも机に向かう」と心の中で唱えてから、ほんの一歩だけ手をつけます。問題を一問解く、ファイルを開くなど、小さく具体的な動作で十分です。気持ちが消えるのを待つ必要はありません。嫌な気分と一緒のまま作業を始めると、見張る働きがゆるみ、気分は後から自然と引いていきます。