インパクト・バイアス:やる前の辛さは実際より大きく予想される
やる前は辛そうに思えて避けたくなるのに、始めると意外と辛くないことがあります。避けるのは意志の弱さではなく、心が辛さを大きく予想するクセが原因です。
ハーバード大学のダニエル・ギルバートとバージニア大学のティモシー・ウィルソンらは1998年、就職の不採用や恋人との別れなどのつらい場面を想像させ、人の感情を実験で測りました。参加者は実際より強く長く落ち込むと予想しました。心には気持ちを意味づけ直して立て直す「心理免疫系」という働きがあるのに、予想時はそれを忘れがちだからです。この「辛さの過大予想」をインパクト・バイアスと呼びます。普段の課題でも、不安が強いほど同じズレが起きやすいと報告されています。
着手前は「インパクト・バイアスが働いているかも」と気づきましょう。次に、これまで似た課題で前回も始めてみたら案外進んだ経験を思い出すと、「今回も辛さは予想より小さいかも」と思えてきます。それでも気が重い時は5分だけ手をつける。想像した辛さと実際のズレに気づき、続けやすくなります。先延ばしは時間管理の問題ではなく、嫌な気分から逃げたい面が大きいです。5分の体感が、思い込みを更新しやすくします。